庭木の幹や枝に白・緑・灰色のものが付いている|地衣類・コケ・虫の見分け方をわかりやすく解説
- 地衣類
- コケ
- カイガラムシ
- 幹の異変
「ウメの枝に、灰色がかった緑色の薄い膜のようなものが広がっている」「幹の北側が緑色のこけでびっしり覆われてきた」「枝に白い小さな粒がたくさん付いていて、こすると取れる」といった幹や枝の付着物は、病気ではないか、木が枯れてしまうのではないかと心配になりやすい変化です。
まずご理解いただきたいのは、幹や枝に付く地衣類やコケは、多くの場合、木から養分を奪わず、木を直接傷めるものではないと一般に説明されるということです。一方で、付着物の正体がカイガラムシなどの虫である場合や、幹からキノコが出ている場合、木そのものの元気がなくなっている場合は、対応が必要なことがあります。本記事では、付着物の色や形から正体の見当を付ける考え方、確認の手順、そして業者に相談したほうがよい状態を整理します。
付着物の正体と、木そのものに元気があるかをあわせて確認してください。
幹や枝の付着物で見るべきなのは、付いているものの色だけでなく、こすると取れる粒なのか、表面に張り付いた膜なのか、幹から生えたキノコなのかという形と、木そのものに元気があるかです。灰色や黄緑色の膜状、葉状のものは地衣類、緑色でふかふかしたものはコケであることが多く、それ自体は木を直接傷めないとされます。ただし、地衣類は生育が衰えて枝の伸びが少なくなった木で目立ちやすいともいわれるため、付着物が急に増えた、枝先が枯れてきた、葉の付きが悪いといった場合は、木が弱っているサインとして受け止めることが大切です。こすると取れる白い粒や綿状のものはカイガラムシなどの虫、幹から出たキノコは内部の傷みが疑われるため、それぞれ対応の考え方が異なります。本記事は判断の目安としてお読みください。
幹や枝に付くものの基礎知識(5つの項目)
幹や枝に付くものの種類と性質を理解しておくと、そのままでよいのか、対応が必要なのかを判断しやすくなります。
基本1灰色や黄緑色の膜状・葉状のものは、地衣類であることが多いとされます
幹や枝の表面に、灰色、白っぽい緑色、黄緑色などの薄い膜や、縁がひらひらした葉のような形のもの、細い糸が垂れ下がったようなものが張り付いている場合は、地衣類であることが多いとされます。地衣類は菌類と藻類が共に暮らす生き物で、木の表面を足場にしているだけで、木から養分を奪うわけではないと一般に説明されます。ウメやサクラ、カキなど、樹皮が古くなった木によく見られます。
基本2緑色でふかふかしたものは、コケであることが多いとされます
幹の根元や北側、日陰になる面に、緑色でふかふかとしたじゅうたんのようなものが広がっている場合は、コケであることが多いとされます。コケも木の表面に付いているだけで、木を直接傷めるものではないと一般に説明されます。湿気が多く、日当たりや風通しが悪い場所で増えやすいため、幹のコケが急に広がった場合は、周囲の環境が湿りがちになっていないかを見直す手がかりになります。庭の地面のコケについては、庭の苔対策の記事にまとめています。
基本3こすると取れる白い粒や綿状のものは、カイガラムシなどの虫が疑われます
枝や幹に、白や灰色、茶色の小さな粒が貼り付いている、白い綿や粉のようなかたまりが付いているといった場合は、カイガラムシなどの虫が疑われます。カイガラムシは木の汁を吸うため、数が増えると枝の勢いが落ちたり、排せつ物に黒いカビが生えて枝や葉が黒く汚れたりすることがあるとされます。地衣類が表面に薄く張り付いているのに対し、虫は粒やかたまりとして付いていて、爪や歯ブラシでこすると取れることが見分けの目安になります。
基本4黒っぽいすすのような汚れは、虫の排せつ物に生えるカビのことがあります
枝や幹、その下の葉が、すすをかぶったように黒っぽく汚れている場合は、カイガラムシやアブラムシなどの排せつ物に生えるカビが疑われると一般に説明されます。この汚れ自体よりも、原因となっている虫が近くにいることが問題とされるため、汚れのまわりの枝や葉の裏に、虫が付いていないかを確認してください。原因の虫が減れば、汚れも少しずつ目立たなくなることが多いとされます。
基本5幹から生えたキノコは、内部の傷みのサインのことがあります
地衣類やコケと異なり、幹や太い枝、根元から生えたキノコは、木の内部で腐朽が進んでいるサインのことがあるとされます。キノコは、木の中に広がった菌が表に出てきたものと説明されることが多く、見えている部分を取り除いても内部の状態は変わりません。幹のキノコに加えて、幹を軽くたたくと空洞のような音がする、木が傾いてきたといった変化がある場合は、早めに業者に確認を依頼してください。
幹や枝に付着物を見つけたときの手順(4つの手順)
付着物の形を確かめたうえで、木全体の様子をあわせて確認します。
- 1
付着物の色・形・手触りを近くで確認します
まず、付着物が薄い膜や葉のような形なのか、ふかふかしたじゅうたん状なのか、粒やかたまりなのか、幹から生えたキノコなのかを近くで確認します。手袋をはめて軽く触れてみて、こすると取れるかどうかも見てください。粒やかたまりがこすって取れる場合は虫が疑われます。素手で触れることは避け、触れた場合は手を洗ってください。
- 2
付着物の位置と広がりを写真で記録します
付着物がどの枝や幹のどの面にあるか、どのくらいの範囲に広がっているかを、近くの写真と木全体の写真で記録し、日付を残します。日陰の面だけか、木全体か、特定の枝だけかによって、考えられる原因が変わります。しばらくしてから同じ位置を撮影して比べると、急に増えているかどうかを判断しやすくなります。
- 3
枝先の枯れや葉の付き方など、木そのものの様子を確認します
付着物のある枝の先に新しい芽や葉が付いているか、枯れた枝が増えていないか、葉の色や大きさに変化がないかを確認します。付着物が多い枝の先が枯れている場合は、地衣類やコケが原因というより、もともと枝が弱っていたことのサインと考えられることがあります。あわせて、幹の穴や木くず、樹液のにじみ、木の傾きがないかも見てください。
- 4
虫やキノコが疑われる場合、木が弱っている場合は業者へ相談します
カイガラムシなどの虫が多く付いている、幹や根元からキノコが出ている、付着物の多い枝から先が枯れてきた、木全体の元気がなくなってきた場合は、業者に相談してください。相談の際は、撮った写真、樹種、いつ気づいたか、木の周囲の日当たりや最近の剪定・工事の有無を伝えると、原因の見当が付きやすくなります。
幹や枝の付着物で避けるべき行動
地衣類やコケを、金属のへらやブラシで強くこそげ落とすことは避けます
地衣類やコケは、多くの場合、木を直接傷めないとされるため、見た目が気になる場合を除いて、無理に取り除く必要は通常ありません。金属のへらや硬いブラシで強くこそげ落とすと、樹皮を傷つけ、そこから乾燥や虫、菌の侵入が起きるおそれがあります。取り除く場合も、手で軽く落ちる範囲にとどめてください。
正体が分からないまま、薬剤を幹に吹き付けることは避けます
付着物の正体が分からないまま薬剤を使っても、効果が期待できないうえに、木やまわりの植物に影響することがあります。カイガラムシなどの虫が確認できて薬剤を使う場合は、製品ラベルの適用・用法を確認し、対象の樹木や虫に使える製品かどうかを確かめてください。カイガラムシは殻やろう状の物質に覆われ、時期によって薬剤が効きにくいとされることもあるため、迷う場合は業者に相談してください。
幹のキノコを取り除いただけで、対応を終えないでください
幹や根元から出たキノコを取り除いても、木の内部に広がった菌や腐朽はそのまま残っているとされます。キノコが出た位置や大きさ、木の傾きや空洞の有無によって、木の安全性の判断が変わるため、取り除く前に写真で記録し、業者に確認を依頼してください。倒れれば建物や道路に届く大きさの木は、特に早めの相談をおすすめします。
付着物ばかりに目を向けず、木の弱りの原因を見落とさないようにします
地衣類やコケが目立つようになった背景に、日当たりの悪化や根元の踏み固め、水はけの悪さ、強い剪定による弱りなどがあることもあります。付着物を取り除くことに目が向きがちですが、枝先の枯れや葉の付きの悪さがある場合は、木そのものが弱っている原因を探ることが大切です。木の元気がない場合の見方は、庭木の病害虫対策の基本の記事でも解説しています。
業者に相談したほうがよいケースと依頼の考え方
カイガラムシなどの虫が広い範囲に付いている、幹や根元からキノコが出ている、付着物の多い枝から先が枯れてきた、葉の付きが悪く木全体の元気がない、幹に穴や空洞がある。このような場合は、付着物の見た目の問題ではなく木の健康と安全の問題として、庭木の手入れを扱う業者に確認を依頼してください。判断の結果、虫の駆除、弱った枝や枯れ枝の整理、日当たりや風通しの改善、内部の傷みの確認といった方向性が示されます。地衣類やコケが付いているだけで、木に元気があり枝先も伸びている場合は、急いで業者に依頼する必要は通常ありません。
相談するときは、樹種、付着物の色と形、付いている位置と範囲、いつ気づいたか、枝先の枯れや葉の変化の有無を伝えると、原因の見当が付きやすくなります。写真は、付着物の近くの様子と木全体の両方があると状況を伝えやすくなります。費用は、木の大きさ、必要な作業の内容、薬剤散布や高所作業の有無などで変わるため、現地を確認してもらったうえで、作業ごとの費用を見積もりで確認してください。
幹や地面のコケが気になる場合は庭の苔対策の基本、虫が疑われる場合はカイガラムシ・アブラムシ等の見分け方、キノコが出ている場合は庭や芝生にキノコが生えた、内部の腐りが心配な場合は庭木の幹が腐っている・空洞がある、樹皮の変化が気になる場合は庭木の樹皮がはがれる・幹が割れるをご覧ください。
虫やキノコが見られる場合、木の元気がない場合は、早めの点検をおすすめします
幹や枝の付着物は、そのままでよいものもあれば、虫の発生や内部の傷みのサインのこともあります。木の元気がない場合や、キノコが出ている場合は、早めの点検をおすすめします。現地調査・見積もり無料のサービスを利用すると、金額を確認してから判断できます。
庭木の幹や枝の付着物のよくある質問
Q.ウメの枝に灰色の膜のようなものが広がっています。病気ですか?
A.灰色や白っぽい緑色の薄い膜や、縁がひらひらした葉のような形のものであれば、地衣類であることが多いとされます。地衣類は木の表面を足場にしているだけで、木から養分を奪わないと一般に説明され、病気とは異なります。ただし、生育が衰えた枝で目立ちやすいともいわれるため、その枝の先に芽や葉がきちんと付いているかもあわせて確認してください。
Q.幹のコケや地衣類は取り除いたほうがよいですか?
A.コケや地衣類は、多くの場合、木を直接傷めないとされるため、無理に取り除く必要は通常ありません。見た目が気になる場合は、手で軽く落ちる範囲で取り除く程度にとどめ、金属のへらや硬いブラシで強くこそげ落とすことは避けてください。樹皮を傷つけると、そこから乾燥や虫、菌の侵入が起きるおそれがあります。
Q.枝に付いた白い粒は、地衣類と虫のどちらでしょうか?
A.見分けの目安は、こすると取れるかどうかです。爪や歯ブラシで軽くこすって粒やかたまりとして取れる場合は、カイガラムシなどの虫が疑われます。表面に薄く張り付いて、膜や葉のように広がっている場合は、地衣類であることが多いとされます。虫の場合は、まわりの枝や葉が黒く汚れていないかもあわせて確認し、数が多ければ業者に相談してください。
Q.地衣類が多く付いている木は、弱っているのでしょうか?
A.地衣類は、古い樹皮や、枝の伸びが少なくなった部分で目立ちやすいとされるため、木の生育が衰えているサインとして受け止められることがあります。ただし、元気な木でも古い幹には地衣類が付くことがあり、付いていること自体で弱っていると決めることはできません。枝先の枯れや葉の付きの悪さ、新しい芽の少なさなど、木そのものの様子をあわせて見て判断してください。