球根植物の管理の基本|植え付け・花後・掘り上げの年間サイクル
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球根植物は、庭づくりのなかでも結果がわかりやすい存在です。秋に土に埋めておけば、春に一斉に花が上がる。育てる手間が少なく、初めての方でも成功しやすい植物です。
ところが、2年目から急に花が咲かなくなる——これが球根でいちばん多い相談です。原因のほとんどは、花が終わったあとの扱いにあります。球根は、花のあとに葉が光合成をして、翌年ぶんの養分を球根に蓄えます。この時期に葉を切ってしまうと、球根は太らず、翌年の花が消えます。本記事では、植え付けから花後、掘り上げ・保管までの1年のサイクルを、順を追って整理します。
結論:花後の葉を自然に枯れるまで残すのが最重要。掘り上げの要否は種類で決まる
球根植物の管理で最も大切なのは、花が終わったあと、葉が自然に黄色く枯れるまで切らずに残すことです。この期間に球根が翌年ぶんの養分を蓄えます。花がらだけは早めに摘んで種づくりにエネルギーを使わせないようにしますが、葉は残します。見た目が悪いからと早く刈ってしまうのが、翌年咲かない最大の原因です。植え付けについては、秋植え(春に咲く)と春植え(夏から秋に咲く)の2系統があり、時期を間違えると育ちません。深さは球根の高さの2〜3倍を目安に、種類ごとの指定に従うのが基本で、浅すぎると倒れやすく、寒さの影響も受けやすくなります。上下の向きにも決まりがあり、とがったほうが上、根が出る平らな面が下です。掘り上げが必要かどうかは種類によって分かれます。日本の夏の高温多湿で球根が傷みやすいものは、葉が枯れたら掘り上げて乾燥保管し、秋にまた植えます。一方、その土地の気候に合えば数年植えたままで増えていく種類もあります。球根には口にすると危険なものがあるため、子どもやペットのいる家庭では保管場所と植える場所に注意してください。
球根植物について知っておく5つのこと
球根は「養分を蓄えた貯蔵庫」です。この性質を理解すると、なぜその手入れが必要なのかが腑に落ちます。
基本1球根は「翌年ぶんの養分の貯蔵庫」
球根の中には、芽を出して花を咲かせるための養分があらかじめ蓄えられています。だから植えるだけで花が咲きます。しかし、その養分は花を咲かせる過程で消費されます。翌年また咲かせるには、花のあとに葉が光合成をして、新たに養分を球根へ送り込む必要があります。この仕組みを知っておくと、なぜ葉を残すのか、なぜ日当たりが重要なのかが理解できます。
基本2秋植えと春植えで、まったくスケジュールが違う
球根には大きく2つの系統があります。秋に植えて春に咲くもの(チューリップ、スイセン、ムスカリなど)と、春に植えて夏から秋に咲くもの(グラジオラス、ダリアなど)です。秋植えのものは、一定期間の低温にあうことで花芽が動く性質を持つ種類が多く、植える時期が遅れたり早すぎたりすると生育が乱れます。購入時にどちらの系統かを確認し、パッケージに書かれた植え付け時期に従ってください。
基本3植え付けの深さと向きに決まりがある
一般的な目安は、球根の高さの2〜3倍の深さです。ただし種類によって指定が異なり、浅植えを推奨するものもあります。必ずパッケージや説明の記載を確認してください。浅すぎると、茎が伸びたときに倒れやすく、寒さの影響も受けます。深すぎると芽が出るまでに力を使い果たすことがあります。向きは、とがったほう(芽が出る側)を上、平らでざらついたほう(根が出る側)を下にします。わかりにくい種類は、横向きに寝かせて植えるという方法が案内されることもあります。
基本4花後の葉を残す期間が、翌年の花を決める
花が終わったら、花がらだけを摘み取ります。種を作らせると養分がそちらに回るためです。しかし葉は残します。葉が緑色のうちは光合成をしており、球根を太らせている最中です。自然に黄色くなって倒れてきたら、その役目は終わりです。この期間は種類にもよりますが、決して短くありません。景観が気になる場合は、あとから伸びてくる草花を手前に配置して、枯れていく葉を隠す配置にしておくと解決します。
基本5掘り上げるかどうかは種類と地域で決まる
日本の夏は高温多湿で、球根が土の中で傷んだり腐ったりすることがあります。そのため、葉が枯れたら掘り上げ、乾かして涼しい場所で保管し、秋にまた植えるという扱いをする種類があります。一方、環境に合えば土に入れたまま数年間そのままで、自然に分球して増えていく種類もあります。どちらに当たるかは種類と地域の気候によります。植えっぱなしにできると案内されているものでも、数年たって混み合ったら掘り上げて分けたほうが花付きが戻ります。
球根を育てる年間4ステップ
ここでは秋植え球根を例に、1年の流れを追います。春植えの種類は、時期をずらして同じ考え方を当てはめます。
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植え付け前:球根を選び、土を整える
購入するときは、持ったときに硬く締まっていて、傷やカビ、柔らかい部分がないものを選びます。軽くてスカスカしたものは中身が傷んでいる可能性があります。植える場所は、日当たりと水はけの良いところが基本です。球根は過湿に弱く、水がたまる場所では腐ります。土が固い場合は掘り返してほぐし、必要に応じて堆肥などの有機物を混ぜて水はけを改善しておきます。
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植え付け:時期・深さ・間隔を守る
パッケージに記載された時期に、指定された深さで植えます。間隔も、球根が育って太ることを見込んで確保します。詰めて植えると見栄えはしますが、翌年以降に混み合います。植えた場所には目印を立てておきましょう。芽が出るまで数か月あるため、うっかり掘り返してしまう事故が起こりやすいためです。植えた種類と場所を簡単にメモしておくと、翌春に迷いません。
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開花期:花がらを摘み、葉は残す
花が咲いたら、終わった花から順に花がらを摘み取ります。茎ごと切る場合も、葉は必ず残してください。この時期は葉が働いている最中なので、日当たりを確保します。周囲の草花が茂って球根の葉を覆ってしまうと、光合成ができません。乾燥が続く場合は水を与えますが、与えすぎは球根を傷めます。土の表面が乾いてから、というのが基本の考え方です。
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花後〜休眠期:掘り上げるか、そのままにするか判断する
葉が黄色く枯れて倒れたら、その年の生育は終わりです。掘り上げる種類なら、晴れた日に土を落として掘り上げ、風通しの良い日陰でしっかり乾かします。乾いたら、ネットや紙袋など通気のある入れ物に入れ、涼しく乾燥した場所で保管します。密閉容器や湿った場所ではカビが出ます。植えっぱなしにする種類は、そのままにして、数年後に混み合ってきたら掘り上げて分球します。
球根の管理でやってはいけないNG行動
NG:花が終わったらすぐ葉を刈り取る
球根が翌年ぶんの養分を蓄えるのは、花後に葉が働いている期間です。ここで葉を切ると、球根は太らず、翌年の花が消えるか、極端に小さくなります。見た目が気になるなら、葉を隠す配置を考えるほうが正解です。葉が自然に枯れるまで待ってください。
NG:水はけの悪い場所に植える
球根は過湿に弱く、水がたまる場所では腐ります。雨のあとに水たまりが残る場所、いつも湿っている場所は避けてください。どうしてもそこに植えたい場合は、土を盛って高くする、水はけを改善するといった下ごしらえが必要です。鉢植えにして場所を選ぶという方法もあります。
NG:掘り上げた球根を湿ったまま袋に入れる
土や水分が残ったまま密閉すると、カビが生えて腐ります。掘り上げたら土を落とし、風通しの良い日陰でしっかり乾かしてから、通気のある袋やネットに入れて涼しい場所で保管してください。保管中も、時々中を確認して傷んだものを取り除きます。
NG:子どもやペットの手が届く場所に球根を放置する
球根のなかには、口にすると健康を害する成分を含むものがあります。玉ねぎやニンニクと見た目が似ているものもあり、誤食の事故が報告されています。保管は手の届かない場所で行い、植えた場所も掘り返される可能性を考えて選んでください。ペットが庭を掘る習慣がある場合は、特に注意が必要です。
業者に相談すべきケースと依頼の考え方
球根の管理そのものは自力でできる作業ですが、うまく育たない原因が庭の側にあることがあります。(1)庭木が育って日当たりが減り、花後の葉が光合成できない、(2)水はけが悪く、球根が腐ってしまう、(3)モグラなど土中の生き物に荒らされる、(4)そもそも植える場所を確保するために庭を整理したい——これらは草花の手入れでは解決しないため、庭全体を見てもらう必要があります。
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球根植物に関するよくある質問
Q.2年目から花が咲かなくなりました。原因は何ですか?
A.最も多いのは、花が終わったあとに葉を早く切ってしまったことです。球根は花後の葉の光合成で翌年ぶんの養分を蓄えるため、この期間が確保できないと球根が太りません。次に多いのが日照不足で、周囲の植物や庭木が茂って葉に光が届いていないケースです。ほかに、混み合って分球しすぎている、水はけが悪くて球根が傷んでいるといった可能性もあります。まずは葉の扱いと日当たりを確認してください。
Q.植えっぱなしでも大丈夫ですか?
A.種類と地域の気候によります。日本の夏の高温多湿に耐えられる種類は、土に入れたまま数年育ち、自然に増えていくことがあります。一方、夏に球根が傷みやすい種類は、葉が枯れたら掘り上げて乾燥保管するのが確実です。購入時のパッケージに植えっぱなしの可否が記載されていることが多いので確認してください。植えっぱなしにできる種類でも、数年たって混み合うと花付きが落ちるため、その時点で掘り上げて分けます。
Q.球根を掘り上げたら小さい球がたくさん付いていました
A.分球といって、親球のまわりに子球ができた状態です。これは正常な増え方で、子球を分けて別に植えれば、数を増やせます。ただし小さい球はその年に花が咲かないことが多く、数シーズン育てて大きくする必要があります。すぐに花を見たい場所には大きい球を、増やす目的の場所には小さい球を、と使い分けるとよいでしょう。親球が小さくなっている場合は、養分が子球に回った結果です。
Q.鉢植えと地植えではどちらが良いですか?
A.目的によります。鉢植えは、水はけを自分で調整でき、日当たりの良い場所へ移動でき、花後の葉が茂っている鉢を目立たない場所に移せるという利点があります。掘り上げの管理もしやすくなります。一方、地植えは水やりの手間が少なく、まとまった数を植えたときの景観が作りやすく、増えていく様子を楽しめます。庭の水はけに不安があるうちは鉢で試し、うまく育つ種類を地植えに広げていくという進め方もあります。