宿根草と一年草の使い分け|植え替えの手間と見映えを両立させる

お庭の基礎知識
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園芸店の売り場では、同じ「草花の苗」として並んでいても、性質のまったく違うものが混ざっています。ひとつは一年草——発芽から開花、種を作るまでを1シーズンで終える植物。もうひとつは宿根草(多年草)——地上部が枯れても根や株が残り、翌年また芽を出す植物です。

この違いを知らずに買い集めると、翌年になって「去年植えたところが空いている」「植え替えが毎年大仕事になった」ということが起こります。どちらが優れているという話ではなく、役割が違うだけです。本記事では、両者の性質を整理したうえで、手間を抑えながら庭の見映えを保つ組み合わせ方を解説します。

結論:宿根草で庭の骨格を作り、一年草で季節の彩りを足す。この配分が手間と見映えを決める

使い分けの原則はシンプルです。庭の骨格は宿根草で作り、一年草は差し色として限られた場所に使う——これで、年間の作業量が大きく変わります。花壇のすべてを一年草にすると、季節ごとに全部を抜いて植え直すことになり、苗代も労力も毎回かかります。逆に宿根草だけで構成すると、花のない時期が生まれ、庭が静かになりすぎることがあります。実用的な配分の考え方としては、花壇の大部分を宿根草と低木で埋め、玄関まわりや窓から見える一角、鉢やプランターといった「目に入る場所」に一年草を配するやり方です。宿根草には「植えて数年は株が充実するまで待つ」という時間の感覚が必要で、植えた年はさびしく見えることがあります。その空白を一年草で埋めると、待つ間も庭が成立します。また、宿根草は数年で株が混み合うため、株分けによる更新が要ります。これは手間ではありますが、株が増えるので苗を買い足さずに庭を広げられる利点でもあります。一年草は土の入れ替えと株の撤去がセットになるため、植える範囲を決めておくと管理が楽になります。

宿根草と一年草について知っておく5つのこと

呼び方の定義だけでなく、庭での振る舞いの違いを知っておくと、買うときの判断が変わります。

基本1一年草は「短期集中で咲く」、宿根草は「毎年戻ってくる」

一年草は、発芽から開花、結実までを1シーズンで完結させる植物です。生涯を短期間に凝縮するため、花付きが良く、色も鮮やかなものが多いのが特徴です。一方、宿根草は地上部が枯れても地下の根や株が生き残り、翌シーズンに再び芽を出します。1回あたりの花の量は一年草に及ばないことが多いものの、植え替えの手間がかからず、年を追うごとに株が充実して見応えが出てきます。

基本2「その土地で宿根するか」は気候によって変わる

宿根草と一年草の区別は、絶対的なものではありません。本来は多年生でも、日本の夏の高温多湿や冬の寒さに耐えられず、その土地では一年で終わってしまう植物があります。逆に、原産地では一年草でもこぼれ種でよく増え、実質的に毎年出てくるものもあります。苗のラベルや説明に「一年草扱い」「寒地では宿根」といった但し書きがあれば、それは自分の地域での振る舞いを示しています。購入時に確認してください。

基本3宿根草は「植えた年」と「数年後」で姿が違う

宿根草を植えた最初の年は、株が小さく花も少ないことが一般的です。根が張って株が充実するまで、種類によっては数年かかります。この期間を知らずに「思ったほど咲かない」と判断して抜いてしまうのは、もったいない選択です。反対に、数年たつと株が想定以上に広がることもあります。植えるときに、成株の大きさを調べて間隔をとっておくと、後の手直しが減ります。

基本4宿根草には「株分け」という更新作業がある

宿根草は年々株が大きくなり、やがて中心部が混み合って花付きが落ちてきます。この状態になったら、掘り上げて株を分け、植え直します。これが株分けで、種類によって適期(春または秋が多い)が異なります。手間ではありますが、分けた株を庭の別の場所に植えれば、苗を買わずに庭を広げられます。近所や知人と株を交換するという楽しみ方もあります。数年に一度の作業と考えておきましょう。

基本5一年草は「植える範囲を決める」と管理が楽になる

一年草はシーズンごとに抜いて植え替えるため、範囲が広いほど作業量と苗代がかさみます。玄関まわり、道路から見える一角、リビングの窓から見える場所など、目に入る範囲に限定すると、少ない苗数でも庭の印象は保てます。鉢やプランターで一年草を扱う方法もあり、これなら花の時期に合わせて置き場所を変えられ、地面を掘り返す必要もありません。

宿根草と一年草を組み合わせる4ステップ

いきなり全部を植え替える必要はありません。既存の庭からでも、少しずつ移行できます。

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    今の庭で「毎年植え替えている場所」を洗い出す

    現状の花壇や鉢を見て、シーズンごとに植え替えている範囲を確認します。その面積が、そのまま毎年の作業量と苗代です。負担が大きいと感じるなら、そこを減らす余地があります。逆に、放っておいても毎年出てくる株があれば、それが宿根草です。今ある宿根草を把握するのが出発点になります。

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    骨格になる宿根草と低木を先に決める

    花壇の奥や後ろ側に、背が高くなる宿根草や低木を配置します。ここが庭の骨格になり、花のない時期でも葉の緑で場が持ちます。手前に向かって背が低くなるように並べると、どの株も見えます。日当たりの条件に合わせて種類を振り分けることも忘れずに。植えるときは、成株の大きさで間隔をとります。詰めて植えると数年で混み合います。

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    空いたところに一年草を入れる

    宿根草を植えた年は株が小さく、隙間ができます。そこに一年草を入れると、待つ期間も庭が成立します。宿根草が育つにつれて一年草のスペースは自然に減っていくので、それに合わせて苗の数を減らせばよいという考え方です。色の使い方としては、一年草を差し色にすると全体が引き締まります。すべてを色とりどりにすると、まとまりが出にくくなります。

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    季節ごとに手を入れ、数年に一度は株分けする

    一年草は花期が終わったら抜き、土をほぐして次の苗を入れます。宿根草は、花が終わったら切り戻し、地上部が枯れる種類は枯れた部分を整理します。そして数年に一度、株が混み合ったら掘り上げて分けます。この更新をしないと、中心が空いて花付きが落ちます。株分けの適期は種類によって異なるため、事前に確認してから作業してください。

宿根草と一年草の扱いでやってはいけないNG行動

NG:宿根草の地上部が枯れたところを掘り返す

多くの宿根草は、冬に地上部が枯れて何もないように見えます。ここを空き地と勘違いして掘り返すと、地下の株を傷めてしまいます。地上部が消える種類を植えた場所には、目印を立てておくのが確実です。植えた場所と種類を簡単に記録しておくと、翌春に迷いません。

NG:植えた年の宿根草を「咲かない」と判断して抜く

宿根草は株が充実するまで時間がかかる種類が多く、初年度の花が少ないのは珍しくありません。少なくとも数シーズンは様子を見てください。それでも育たない場合は、日照や水はけといった環境が合っていない可能性があります。抜く前に、置かれている条件を確認しましょう。

NG:成株の大きさを調べずに詰めて植える

植え付け時の苗は小さく、間隔を詰めたほうが見栄えがします。しかし宿根草は年々広がるため、数年後には隣同士が押し合い、風通しが悪くなって病気が出ます。成株の大きさを調べて間隔をとり、当面の隙間は一年草や鉢で埋めるのが賢い進め方です。

NG:花壇全体を一年草で埋めて、毎年すべて植え替える

見た目は華やかですが、年に何度も全面を抜いて植え直す作業が固定的に発生します。苗代も毎回かかります。年齢を重ねてこの作業が負担になると、庭全体が荒れる原因になります。骨格を宿根草に移していくと、続けられる庭になります。

業者に相談すべきケースと依頼の考え方

草花の管理は基本的に自力の範囲ですが、次のような場合はプロの手を借りると早く解決します。(1)日当たりが変わって育たなくなった原因が、周囲の庭木の成長にある、(2)土の状態が悪く、何を植えても育たない、(3)花壇の面積が広く、季節ごとの管理が追いつかない、(4)庭全体の構成から見直したい——特に(1)は、草花側をいじっても解決しません。上の木を透かして光を入れることが対策になります。

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なお、庭に手を加える工事は領域が分かれます。花壇の石積みが高くなる場合や斜面にかかわる部分は土木・建築の専門業者、屋外照明の配線は電気工事士、散水設備の新設は自治体の指定給水装置工事事業者が担当します。関連する内容は花壇の土づくりの基本植栽の配置計画の立て方グランドカバープランツの選び方北向き・日陰の庭の植栽の考え方もあわせてご覧ください。地域から探す場合はさいたまの庭業者まとめ千葉の庭業者まとめが便利です。

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宿根草と一年草に関するよくある質問

Q.宿根草と多年草は違うものですか?

A.厳密には使い分けられることもありますが、園芸の現場ではほぼ同じ意味で使われています。一般に「多年草」は複数年にわたって生きる草本植物全般を指し、「宿根草」はそのうち冬などに地上部が枯れて根や地下の株で越えるものを指す、という説明がよくされます。ただし売り場での表記は統一されていないため、重要なのは呼び名より、その植物が自分の地域で毎年出てくるかどうかです。苗のラベルの説明を確認してください。

Q.宿根草のほうが結局は安く済みますか?

A.長い目で見ればその傾向はあります。一年草はシーズンごとに苗を買い直しますが、宿根草は一度植えれば数年は同じ株が使え、株分けで増やすこともできます。ただし、宿根草の苗は一年草より単価が高いことが多く、初期の負担は大きくなります。また、環境が合わずに枯れることもあります。すべてを一度に置き換えるのではなく、育つことを確かめながら少しずつ増やすのが現実的です。

Q.冬に地上部がなくなる宿根草は、どう管理すればよいですか?

A.枯れた地上部は、傷んでからでよいので刈り取って片付けます。放置すると蒸れや病気の原因になることがあります。株がある場所には目印を立て、掘り返さないようにしてください。寒さで根が浮き上がることがある地域では、株元を落ち葉やバークチップなどで覆うと保護になります。翌春に芽が出てくるまでは何もないように見えますが、地下では動いています。

Q.こぼれ種で増える植物は宿根草と考えてよいですか?

A.性質としては別です。こぼれ種で増えるものは、親株は一年で終わり、落ちた種から翌年に新しい株が育ちます。結果的に毎年花が見られるという点では似ていますが、生えてくる場所は種が落ちたところなので、想定した配置とは変わっていきます。これを自然な雰囲気として楽しむこともできますし、増えすぎる場合は花がらを早めに摘んで種を落とさないようにする対応が必要です。庭の構成をきっちり保ちたいなら、宿根草のほうが計画が立てやすくなります。

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